一人一人の命が輝くコミュニティ型組織の時代に
2019年に本格化した働き方改革から6年以上が経ち、コロナ禍やAIの急速な進化を経て、働き方・働く意味そのものが大きく変わってきています。
これまで主流だったのは、ピラミッド型組織の一部として働くスタイルでした。いわば、労働者を一つの機械の部品とみるような組織の作り方です。しかしこれからは、一人ひとりの個性やライフを尊重しながら、つながりの中で共鳴・共創していく自律分散的なコミュニティ型の企業が、徐々に広がっていくと考えられます。
以下の図にあるように、一人一人のライフや働き甲斐を大切にしながらも、組織として利益を出し続け、持続可能な状態の組織であり続ける必要があります。
これまで日本に企業はどちらかと言えば、左上のあるような組織として利益追求を重視し、仕事としてのやりがいを見出すことはできる一方で、個人としての生きがいや個性の発揮が職場ではできにくい環境にありました。
しかし、これからは、働く人たちも一人の人間として個性を発揮し、命を輝かせることができ場でなければなりません。つまり、組織自体もコミュニティ型となっていかなければいけないのです。 そのようなコミュニティ型に変容していくひとつのツールとして、急激に発達しつつあるAIの活用方法は極めて重要になってきているのです。
コミュニティ型企業となっていくための「AI駆動型人事制度」
コミュニティ型組織の特徴の一つは対話を重視し、社員一人ひとりの声が運営に反映されることです。働く場としての組織が対話やつながりを重視したものになっていくためには、そのような活動の邪魔をしない、できればより推進されていくような人事の仕組みにしていかなければなりません。ただし、これまでは大人数が関わる深い対話型の制度づくりは現実的に難しいものでした。そこで可能性を広げるのが、対話型AIです。
人事制度づくりにAIを活用するという話を聞くと、一般的な評価項目を調べる、業界別の等級制度を整理する、制度案のたたき台を作るといった「効率化」「作業の自動化」を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、コミュニティ型組織を目指すのであればそれだけでは不十分です。重要となるのは、対話を促進するAIの活用です。複数の人の意見や価値観、専門知識を統合し、より深い問いや納得感のある方向性を導き出すAIの活用方法です。このような活用方法でAIを用いる人事制度を私たちは「AI駆動型人事制度」と呼んでいます。
「AI駆動型人事制度」の構築・運用の3つのステップ
具体的には次のような3つのステップで制度構築、運用をおこなっていきます。
@現状の課題抽出および組織のありたい姿の共有
A具体的人事制度の構築
B対話を通じた制度仮運用(対話からの評価)
@現状の課題抽出および組織のありたい姿の共有
第1のステップでは、プロジェクトメンバーが全員参加して、「私たちの組織の課題は?」「それらは構造の問題か?文化の問題か?」などを話し合います。そして、そこで出た意見はまとめずにそのままAIにインプットし、それらを集約し意見やさらなる問いなどをアウトプットしてもらいます。
通常の会議などでは声の大きな人の意見に引っ張られることが多いですが、AIではインプットしたすべての意見を組み込んでアウトプットしてくれます。これらの対話を繰り返し組織の今の課題や方向性を明確にしていきます。なお、ここで活用するAIにはどのような理論や哲学(例えばU理論やティール組織論)に基づいたアウトプットを期待するかによって、自社で生成しておく必要があります。一般的なAIでもこのプロセスは可能ですが、ここでは経営者の思想や考え方が反映され、生成されたAIとしておいたほうがより組織風土にあった対話ができるようになるでしょう。
A具体的人事制度の構築
第2のステップでは、ステップ1の方針に基づき、プロジェクトメンバーで具体的な人事制度を構築していきます。ここでは、その会社のクレドや経営理念、これまでの人事制度内容を取り込んだAIと対話をしながら進めていきます。
「弊社のクレドと経営理念を盛り込んだ8等級の等級制度を作ってください」という指示をAIに出すと、すぐにたたき台を作ってくれます。しかし、これは決して正解ではなく、プロジェクトメンバーで何か足りてないものがないか、各職場で十分に運用できるものか、などを議論することが肝要です。
そして、議論で浮かび上がってきた不足分や削除分などをAIにさらに指示をする、ということを繰り返します。このように実際のプロジェクトメンバー同士でも議論を深めながら、ある程度まとまった意見をオリジナルのAIに問いかけてみるということを繰り返し、本当に自分たちが求める制度を作り上げていきます。
B対話を通じた制度仮運用(対話からの評価)
第3のステップは仮運用の段階です。ステップ2でオリジナル人事制度ができたあとは、実際に仮運用を行っていきます。ここの段階でも対話型のAIを活用します。例えば、評価を行う際には、上司が評価した情報を自社の人事制度を学習したAIにインプットし、仮の評価をアウトプットしてもらいます。AIの評価であるため、究極に客観的な評価結果ということが言えます。ただし、AIの評価をそのまま利用するのではなく、このアウトプットをもとに全員で対話を行い、最終的な評価を決定していくとともに、自社の人事制度の基本的運用手法を決めていくことが大切です。
以上のように対話型のAIを駆動させながら、人事制度の構築や運用を行っていくことで、多くの意見の集約を客観的に行い、それに基づいてでてきた、さらに深い問いを組織として探究していくことができるのです。これは、これまでは時間的、空間的問題でできなかった深い対話を可能にし、一人一人の思いが組み込まれた制度の構築、運用が可能となってくるでしょう。
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