有限会社人事・労務

これからの時代に求められる働き方改革とは?

先行きの見えない時代の中、多くの企業では、新たなイノベーションを起こし続けていくことが喫緊の課題と言えるでしょう。
予測できない社会情勢、人手不足問題、こういった企業のこれからの課題を解決していく手段として、各企業が取り組んでいるのが働き方改革です。

働き方改革とは、働く人たちの多様な価値を尊重し、様々な立場の人材を取り込むこと、これは、SDGsの「誰一人取り残さない」という理念と繋がります。

しかし、ただ法令を遵守し、障害者雇用や女性の雇用推進を行えばそれで終わりということではありません。
社労士の立場から数多くの働き方改革に携わり見えてきたことは、法令遵守の視点だけで改革を進めるだけでは、大きな危険をはらんでいるということ、ハラスメント問題や労務トラブルの頻発等により、結果的に会社自体の体力が落ちていくという状態が見受けられます。

働き方改革をイノベーションの視点から見たとき、それは同調圧力の高い組織からは生まれてきません。
異質なもの同士が対話を通して、信頼のもとにぶつかり合い、異なりを認め合い、合意形成しながら、新たなイノベーションを起こしていくというプロセスを踏む必要があります。

"間"を通して繋がるコミュニティの存在

こうした個々の違いを認め合うためには、多様な個を受け入れる媒体として、「間」=コミュニティが必要です。
つまり個人と公の二項対立ではなく、両者の間を取りもち、そこにノイズを取り込んでいく「共」の存在があることで、多様な価値観が「共」=「間」を通して個及び公に流れ込み、様々な人や会話により、お金だけではない価値が生まれてきます。
そんな多様な価値観が混ざりあう中で、その人にとって心地よい空間、職場へと変わっていくのです。

コミュニティの存在は、個々人の人間性を形成します。
コミュニティを通して、個人が自らの人間性を高め、自律性を発揮していくことで、自己変容を遂げていく。
そして、集団は、企業市民として、地域に開かれた存在へとなっていく。
さらにその先には、共を通しての公の秩序ある状態の中で、個人が自由を享受し、開かれた組織の中で存在的承認を得ていく場としての会社が、社会の持続性を実現していくのです。
その中で個人が自らの根源に目覚めて、より大きな幅広い世界と繋がっていく、それが人間性尊重の時代と言えるのではないでしょうか。

SDGsのその先へ − ウェルビーイングな生き方・働き方

こうした個々人や社会の新しい働き方・生き方を尊重する概念として、ウェルビーイングという言葉が注目されています。
ウェルビーイングとは、精神的にも身体的にも幸福感や充足感を感じられること、また瞬間的なものではなく、持続的に続いていくものです。
予測不可能な時代、多様性の時代の中で、それぞれの生き方を認めるものとして、この概念は必要不可欠なのです。

このウェルビーイングを実践していくためには、個人の心身の健康、職場のエンゲージメント、地域の健康、この3つの循環が重要です。
そのために、まずは個々人が満足し、充実感をもって働くことができる環境が必要です。
各人のウェルビーイング、働きがいや、やりがいを保証する職場環境があることで、個々人の重なり合いによって、会社や職場の創造性(イノベーション)が活発化されていきます。
さらに職場では、職場内でとどまることなく、地域への視点をもちながらソトとの繋がりをもっていくこと、自分たちの住むこの地域のためにできることは何かを考えながら、取り組んでいくことが重要です。

そうした企業が増えていくことで、地域が活性化し、町全体がウェルビーイング(健康)になっていく。それがまた個人の健康へと繋がっていく。
この循環が継続していくことで、社会全体のウェルビーイングが形成されていくのではないでしょうか。

今後に向けて − 未来に繋がるコミュニティ経営

現代社会にはびこる様々な問題、気候変動による自然災害、飢餓、人権侵害、経済格差…。
誰もが関係するこの問題に目をそむけることはできない一方で、同時に一人で解決することは不可能であり、大きすぎる問題に困惑し他人事になってしまうことも事実です。
この地球規模の課題を自分事として捉えるためには、身近なところで実感できる、身体的な感覚を踏まえた体験が必要だと思います。

だからこそ、地域視点、コミュニティ視点を兼ね備えながら、課題意識をもって取り組んでいくことが重要なのですが、問題解決のためには、それを担う人が心身共に健康である必要があると思うのです。

2030年までに目標達成が求められているSDGsは、その後さらに次の段階へと進み、ネクストSDGsの時代が来ると言われています。
SDGsを単なるトレンドとしてではなく、自分やその企業に合った適切な目標を選び、実践していくこと、決まったやり方がないからこそ自社の理念や価値に立ち戻り、自分たちが届けたいものは何かを問い直すことが重要です。

個人の幸せ、それは一人で得られるものではなく、人との繋がり、コミュニティによって創られます。「誰かと共にある」、その繋がりが形成されていることが、個々人の、そして職場、地域の幸福感へと繋がっていくのです。
一見遠回りのように見えるこの過程を積み重ねていくことが、持続可能な社会に向けての小さくも確実な一歩となるのではないでしょうか。

そのために、会社は限りなくコミュニティを兼ね備えた組織となり、地域に開かれた窓を形成することが求められています。
個人と地域の間を取りもつもの、両者を繋ぐのが個人が働く・所属する職場であるため、職場のウェルビーイングはそれだけ重要な意味をなしています。

弊社コミュニティの実践

弊社では、2つの「共」のコミュニティ活動を実践しています。
「日本の未来のハタラクを考える」というコンセプトをもつ一般社団法人日本ES開発協会、そして、「農と食を通して地域のつながりを創る」というコンセプトをもった903シティファーム推進協議会という2つの団体の運営をさせていただいております。

両者の活動には、様々な立場の方が世代・性別を超えて集まってきます。
その中には、雑多な価値観がこれら2つのコミュニティから弊社有限会社人事・労務に流れ込み、法人としてのお金や効率以外の大きな、様々な価値観を与えています。

このようなコミュニティ活動が始まった当初は、このような活動をやって何になるのか、お金にならず時間の無駄ではないか、といった後ろ向きな意見もありました。
しかしながら、活動を通して常に社員個々人のあり方、そして会社のあり方を問い直しながら徐々に進んできた結果、遠回りのようでかえって会社の生産性、そして個々人の成長へと繋がっていくことをメンバー各人が実感しています。
私たちは、様々な仲間や地域から得た気づきに感謝し、我々自身が気づき培ってきた英知をご縁ある方々や地域に向けて、恩送りをしていきたいと思っております。

昨今の働き方改革や、ティール組織に代表される自律分散型組織というものは、地域・会社・個人のそれぞれが循環し、一体となってこの地球環境、生態系と調和しながら生きていく、命そのものの循環を表現するものだと思います。
先人たちが営々と築いてきた平和で調和がとれた世界を、さらに次世代を担う子どもたちへ、今よりもさらに良い状態で残し引き継いでいきたいと強く思います。

間のある会社が世界を繋いでいく。
間のない間抜けな会社と言われないよう、弊社では今後も実践を積み重ね、精一杯努めてまいります。